標準オブジェクトとカスタムオブジェクトを使用して顧客データを最適化する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Salesforce CRM プラットフォームでオブジェクトを使用するメリットを説明する。
- 標準オブジェクトとカスタムオブジェクトの違いを説明する。
- オブジェクトに設定可能なカスタム項目種別を挙げる。
オブジェクトの概要
DreamHouse は不動産会社で、顧客がオンラインで物件を探し、不動産エージェントに問い合わせられるようにしています。DreamHouse の仲介業者は、Salesforce CRM のいくつかの標準機能 (取引先責任者やリードなど) を使用して物件購入者の顧客データを管理しています。
ただし、物件の販売となると、追跡が必要な事項がもっとあります。たとえば、Salesforce には物件を追跡する方法が標準では備わっていません。DreamHouse は販売物件やそれぞれの販売価格をどのようにして把握するのでしょうか?
幸いにも、DreamHouse の Salesforce システム管理者、D'Angelo は Salesforce Platform でソリューションが提供されていることを知っています。では、D’Angelo が作成するものを見ていきましょう。
まずはデータモデルから始めます。データモデルは、ほとんどその名前のとおりです。データベーステーブルの構造をわかりやすくモデル化する方法です。データベースに馴染みがない場合は、データをスプレッドシートに保存することを考えてみてください。たとえば、D’Angelo はスプレッドシートを使用して DreamHouse のすべての物件を追跡できます。列には、住所、価格、その他の重要な属性を保存できます。行には、上記の情報を DreamHouse が販売する各物件に関して保存できます。データベーステーブルは同様の方法で設定されます。
ただし、テーブルでデータを表示することは理想的とは言えません。ここでデータモデルの登場です。
Salesforce CRM では、データベーステーブルはオブジェクト、列は項目、行はレコードとみなされます。そのため、取引先のスプレッドシートやテーブルの代わりに、取引先オブジェクトと項目、および同じ構造の多数のレコードを使用します。
Salesforce での「データモデル」は、アプリケーションでのオブジェクトと項目のコレクションと考えてください。独自のデータモデルを作成できるように、オブジェクトと項目について詳しく説明します。
オブジェクトについて知る
Salesforce では、いくつかの異なる種別のオブジェクトがサポートされています。標準オブジェクト、カスタムオブジェクト、外部オブジェクト、プラットフォームイベント、BigObjects があります。このモジュールでは、最も一般的な 2 つのオブジェクト、標準オブジェクトとカスタムオブジェクトに焦点を絞ります。
標準オブジェクトは、Salesforce に含まれるオブジェクトです。取引先、取引先責任者、リード、商談などの一般的なビジネスオブジェクトは、すべて標準オブジェクトです。
カスタムオブジェクトは、会社や業種に固有の情報を保存するために作成するオブジェクトです。DreamHouse の場合、D’Angelo は会社が販売している物件に関する情報を保存する Property (物件) カスタムオブジェクトを作成したいと考えています。
オブジェクトは情報のコンテナですが、特別な機能もあります。たとえば、カスタムオブジェクトを作成すると、プラットフォームによって自動的にユーザーインターフェースのページレイアウトなどが作成されます。
カスタムオブジェクトを作成する
D’Angelo が Property オブジェクトをどのように作成するのかを見ていきましょう。このオブジェクトは後で必要になるため、この手順はスキップしないでください!
- このページの一番下までスクロールし、Trailhead Playground を作成します。このステップは省略できません。このモジュールには新しい Trailhead Playground を使用する必要があります。
メモ: このモジュールを「システム管理者初級」トレイルの一部として受講する場合でも、必ず新しい Trailhead Playground を作成して、以下の手順を実行してください。新しい Playground 組織に Dreamhouse アプリケーションを再インストールする必要はありません。 - Playground が作成されたら (1 分ほどかかります)、[Launch (起動)] をクリックします。
- ページの上部にある歯車アイコン をクリックして、設定を起動します。
- [Object Manager (オブジェクトマネージャー)] タブをクリックします。
- 右上にある [作成] | [カスタムオブジェクト] をクリックします。
- [Label (表示ラベル)] に
Property
(物件) と入力します。[オブジェクト名] 項目と [レコード名] 項目は自動的に入力されます。 - [表示ラベル(複数形)] に
Properties
(物件) と入力します。 - カスタムオブジェクトを保存する前に、ページの一番下までスクロールし、[Launch New Custom Tab Wizard after saving this custom object (カスタムオブジェクトの保存後、新規カスタムタブウィザードを起動する)] チェックボックスをオンにします。
- 残りの値はデフォルトのまま、[Save (保存)] をクリックします。
- [新規カスタムタブ] ページで、[タブスタイル] 項目をクリックし、任意のスタイルを選択します。このスタイルに応じて、オブジェクトの UI に表示するアイコンが設定されます。
- [Next (次へ)]、[Next (次へ)]、[Save (保存)] の順にクリックします。
最初のカスタムオブジェクトを作成できました。次は、このオブジェクトへの項目の追加について説明します。
項目について知る
すべての標準オブジェクトとカスタムオブジェクトには項目が関連付けられています。さまざまな種別の項目について知っておきましょう。
データ型 |
説明 |
例 |
---|---|---|
ID |
すべてのレコードで自動的に生成される 15 文字の項目 (大文字と小文字を区別する)。レコードの ID はその URL に含まれています。 |
取引先 ID は 0015000000Gv7qJ のようになります。 |
システム |
システムがレコードに関する情報 (レコードの作成日、最終変更日など) を提供する、参照のみの項目。 |
CreatedDate、LastModifiedById、および LastModifiedDate。 |
名前 |
レコードを区別できるように、すべてのレコードに名前を付ける必要があります。テキストの名前を使用するか、レコードを作成するたびに自動的に増分される自動採番の名前を使用できます。 |
取引先責任者には「Julie Bean」などの名前を付けることができます。サポートケースには「CA-1024」などの名前を付けることができます。 |
カスタム |
標準オブジェクトまたはカスタムオブジェクトで独自に作成する項目は、カスタム項目と呼ばれます。 |
取引先責任者オブジェクトで、取引先責任者の誕生日を保存するカスタム項目を作成できます。 |
ID 項目、システム項目、名前項目は、Salesforce のすべてのオブジェクトで標準です。各標準オブジェクトには、事前作成済みの一連の標準項目もあります。標準オブジェクトにカスタム項目を追加してカスタマイズしたり、カスタムオブジェクトにカスタム項目を追加したりできます。
すべての項目にはデータ型があります。データ型は、項目に保存される情報の種類を示します。
Salesforce では多数の異なるデータ型がサポートされていますが、一般的なデータ型のいくつかを次に示します。
- チェックボックス — 単純な「はい」または「いいえ」の項目が必要な場合、チェックボックス項目を使用します。
- 日付または日時 — これらのデータ型は、誕生日や販売マイルストーンなど、日付または日付/時間の組み合わせを表します。
- 数式 — この特殊なデータ型は、記述した数式に基づいて自動的に計算される値を保持します。たとえば、D’Angelo は物件販売時に不動産業者のコミッションを自動的に計算する数式項目を記述できます。
前述のとおり多数のデータ型がありますが、そのほとんどは説明するまでもありません。ここで重要なのは、カスタム項目を作成するときに、その項目に保存するデータの種類を考慮する必要があるということです。
カスタム項目を作成する
先ほど作成した Property オブジェクトは最小限の項目で構成されています。いくつかのカスタム項目を追加してみましょう。Trailhead Playground に戻ります。
- [設定] から、[オブジェクトマネージャー] | [プロパティ] に移動します。
- サイドバーで、[Fields & Relationships (項目とリレーション)] をクリックします。ここには、すでにいくつか項目があります。先ほど説明した名前項目 1 つと複数のシステム項目があります。
- 右上にある [New (新規)] をクリックします。
- データ型には、[Currency (通貨)] を選択します。
- [Next (次へ)] をクリックします。
- 次のように入力します。
- 項目の表示ラベル:
Price (価格)
- 説明:
The listed sale price of the home (リストに記載される物件の販売価格)。
- [必須] チェックボックスをオンにします。
- [Next (次へ)]、[Next (次へ)]、[Save (保存)] の順にクリックします。
Property の項目リストに [Price (価格)] 項目が表示されます。[項目名] 列では「Price__c」となっています。この「__c」の部分で、その項目がカスタム項目であることが簡単にわかります。
レコードを作成する
物件レコードを作成してこれまでの成果を確認しましょう。
- アプリケーションランチャー (ナビゲーションバーにある ) で、[セールス] を見つけて選択します。
- ナビゲーションバーの [Properties (物件)] タブをクリックします。このタブが表示されていない場合は、[More (さらに表示)] ドロップダウンから探します。
- 右上にある [New (新規)] をクリックします。
- 物件の名前と価格を入力し、[Save (保存)] をクリックします。
素晴らしい! 次のようなページが表示されます。
カスタマイズする上での留意点
オブジェクトの追加とカスタマイズは簡単に思えるかもしれませんが、バックグラウンドでの処理は技術的に複雑です。独自の組織をカスタマイズするときに留意すべきいくつかのベストプラクティスを次に示します。
よく考えて名前を付ける。多数のオブジェクトを作成し始めると、慎重に考えずに名前を付けがちです。たとえば、D’Angelo が分譲マンションを追跡するために別のカスタムオブジェクトを作成するとき、その名前を「分譲マンション」ではなく「物件2」にしようとするかもしれません。これが組織で混乱を招く原因になります。オブジェクトと項目には、わかりやすい一意の名前を付けて明確にしましょう。
ユーザーが理解できるようにする。慎重に名前を付けても、ユーザーが特定のオブジェクトや項目の目的を理解できない場合があります。そのため、カスタムオブジェクトとカスタム項目の説明を追加します。特殊なカスタマイズや複雑なカスタマイズの場合は、ヘルプテキストでさらに詳しい情報を提供します。
必要に応じて項目を必須にする。特定のオブジェクトのレコードを作成するときに、ユーザーの入力が抜けてはならない項目があるはずです。たとえば、すべての物件には価格が必要です。データが不完全になることを避けるため、重要な項目を必須に設定します。
リソース
- Salesforce ヘルプ: Salesforce 組織のカスタマイズ
- Salesforce ヘルプ: 組織固有の情報の保存
- Trailblazer Community: カスタマーサクセスコミュニティ
- ナレッジ記事: カスタムオブジェクト、タブ、項目のベストプラクティスガイド